天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 悔しそうに唇を噛んでから、「あはは」と吹っ切れたように声を上げて笑った。

「志田さんってホント真面目で純朴ですよね。ずっと好きだったなんて嘘に決まってるじゃないですか。別に志田さんじゃなくても、パイロットだったら誰でもよかった」
「誰でもよかった? なんでそんなこと」
「パイロットと付き合って結婚したら、みんな私をうらやましがる。そうしたら、私の陰口をたたいてた同僚たちを見返せる……!」

 そのやりとりを聞きながら「くだらない」と吐き捨てると、安本の視線が俺に向いた。

「人のものを奪って他人からうらやましがられれば、自分の価値が上がるとでも思っているのか」

 俺の問いかけに、安本が唇を噛んでこちらを睨む。

「矢崎機長みたいに完璧な人に、落ちこぼれの私の気持ちなんてわかりませんよ! みんな、私より不幸になればいいのに!」

 そう叫ぶ安本を見て、哀れな気持ちになる。

 周りの目を気にして、他人からの評価に振り回されて、必死にもがいているように見えた。

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