天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「主幹管制官の怒鳴り声で我に返って、なんとかリカバリーしました。でもあのときのことを思い出すと、どうしようもなく怖いんです」

 里帆はうつむきながらそう言う。

「管制官の仕事はどんな小さなミスでも人命に直結するんです。またパイロットの恋人ができて、その人に裏切られたら、私は同じミスをしてしまうかもしれない。たくさんの人の命を危険にさらすかもしれない」

 だからあんなに頑なに、パイロットとは付き合いたくないと言っていたのか。

 つねに仕事に真摯で真面目な彼女は、仕事中に私的な感情でミスをしたことが許せず自分を責め続けているんだろう。

「俺は絶対に里帆を裏切ったりしない」

 語り掛けるように言うと、里帆は小さくうなずいた。

「翔さんは誠実な人だってわかっています。……だけど、どうしても自分のことが信用できないんです」

 華奢な肩が震えていた。
 苦しいほど悩み葛藤しているのが伝わってきた。

「ごめんなさい、翔さん」

 里帆がうつむいたまま涙声でそう言う。

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