天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 言葉を詰まらせながら続ける尚久を見て、彼が心から謝ってくれているのが伝わってきた。

「ずっと一緒にいたいって、結婚したいって思ってたのに、裏切ってごめん」

 深く頭を下げる彼に、私は「ううん」と首を横に振る。

「私たち長い時間一緒にいすぎて、お互いを大切にできなくなっていたよね」

 私は主任管制官になって責任が増え、プライベートよりも仕事を優先したかった。
 尚久は念願のパイロットになり慣れない業務やストレスで、きっと私に癒しを求めていた。

 いつの間にか心に距離ができていたのは、どちらが悪いわけでもなく、お互いを思いやる気持ちが足りなかったんだと思う。

「あの彼女とは、どうなったの?」

 私がたずねると、尚久は静かに口を開く。

「れいなは、CAを辞めたよ。もともと向いてなかったんだ」
「そうなんだ……」
「でも、結局れいなと付き合ってる。さすがに結婚の話は白紙にしたけど」

 そう言って尚久は苦笑いを浮かべた。
 少しあきれたような、でも優しい表情だった。

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