天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 私が眉を下げてそう言うと、翔さんがくすくすと笑った。

「昨日の時間が夢じゃないことを、もう一度確かめたい。だめか?」

 その問いかけはずるいと思う。
 そんな色っぽい顔で見つめられたら、拒否できるわけがない。

「一度だけですよ……」

 しぶしぶ言うと、翔さんはにっこりと笑い私の体を抱き寄せた。







 翌日、三百六十度ガラス張りの管制塔の上から美しい夕焼けを眺めていた。

『CAL302便。こちら管制タワー。風は北北西からの微風。滑走路34Lから離陸を許可します』

 滑走路上の旅客機に、無線でそう指示を出す。

『滑走路34L了解。CAL302便、離陸します』

 私の指示通り、大きな飛行機が滑走路上を進みはじめる。
 スピードが増しタイヤがふわりと宙に浮くと、両翼に風を受けどんどん高度を上げていく。

 無事離陸した機体に向かって無線で話しかける。

『CAL302便。周波数120.8.に接続してディパーチャーと交信してください。よいフライトを』
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