天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~




 頬にやわらかな風が触れ、閉じた瞼の裏に光を感じた。
 そして、どこからか鳥のさえずりが聞こえてきた。


 朝が来たんだと気づき、ゆっくりと目を開ける。



 白いレースのカーテンが風に揺れていた。
 白い格子戸の窓の向こうに、青い空とエッフェル塔が見えた。

 目が覚めたというのに、まだ夢の中にいるみたいに美しい景色だった。

「綺麗……」

 ベッドの中でぼんやりしていると、「起きた?」と声をかけられた。

 振り向くと、バスローブ姿の翔さんがベッドサイドに立っていた。

 ゆるく合わせた襟元から逞しい体が見えた。
 昨夜のことを思い出し、頬がぶわっと熱くなる。

「あ、あの……、おはようございます」

 恥ずかしくて目線が合わせられない私とは対照的に、翔さんはゆったりと微笑み「おはよう」とうなずく。

「里帆、体は大丈夫か?」
「あ、はい」
「よかった。昨日は無理をさせたから」

 その言葉に、体の奥がきゅんとうずく。

 激しく抱かれてくたくたになってしまった私を、彼はとことん甘やかしてくれた。


< 68 / 238 >

この作品をシェア

pagetop