天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「彼氏と別れたんだから、次の出会いを探しましょうよ! 浮気した元カレより、いい男を捕まえるしかないですよっ!」

 鼻息を荒くする彼女に、「遠慮しとく」と首を横に振る。

「えー、彼氏ほしくないんですか?」
「今はいらないかな」
「もしかして、まだ元カレのことが忘れられないんですか?」

 心配そうに見つめられ、「そうじゃなくて……」とつぶやく。

 頭に浮かんだのは元カレの尚久ではなく、パリで出会った翔さんの顔だった。

 無意識に首から下げた身分証明書に触れる。
 そのストラップには、翔さんからもらった鐘の形の小さなチャームがついていた。

『必ず探し出す』という彼の言葉を本気にしたわけじゃないし、いつかまた出会えるかも、なんて期待もしていない。

 だけど、ふたりで過ごしたあの時間を思い出すだけで、心が温かくなって幸せな気持ちになれた。

 今はそれだけで十分だった。

 そんな私を見て、富永さんがはっと表情を変える。

「もしかして、旅行先で素敵な出会いがあったんですか?」
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