天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「ま、そう言うな。搭乗訓練でイケメンパイロットと知り合えるかもしれないぞ」
「主幹! それも禁句!」

 富永さんのするどい声に、主幹がはっとしたように口を手で覆う。

 パイロットという言葉にそんな過剰な反応をするってことは。

「……私の元カレがパイロットだってことも、みんな知ってるのね」

 富永さんを見つめると、彼女は「てへっ」と小首をかしげて笑った。


  



 
 その日、私と富永さんは搭乗訓練に参加するために、空港のターミナルビルの中を歩いていた。

 管制官は年に一度搭乗訓練をするよう定められているけれど、強制ではなくあくまで自主参加なので、実際の搭乗訓練の参加率は二割を切る。

 けれどあまりにも参加していないと管轄する国土交通省から怒られてしまうので、何年かに一度こうやって民間の旅客機に乗せてもらうのだ。

「ほんと面倒くさいなぁ、搭乗訓練。蒼井さん、お腹が痛くなったとか言ってさぼっちゃいませんか?」
「そんなことできるわけないでしょ」
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