スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
啓一郎さんは最初戸惑っていたが、いつもと違う様子の私に気づいたようで。
「紗雪、どうした?」
私はどこかおかしかった。
普段であれば言えないようなことも今ならなんでも言える気がした。
「もっと────ちょうだい」
前傾姿勢で見つめる私は、普通に座っている啓一郎さんに上目遣いになっていることは気づかない。そして今の今まで寝ていたためかドレスは乱れていること、左側の肩紐が落ちていることにも。
啓一郎さんは私の言葉に瞳を揺らした。
けれど理性の鎖が縛っているのか首を縦に振ることはなかった。
「ペットボトル渡すから自分でのんで」
いつもに比べてそっけない物言いに私はほおを膨らませた。
「やだ。啓一郎さんが飲ませて」
啓一郎さんは一瞬頭を抱え、何か小さくうめいている。
「だめだよ。今の紗雪は正気じゃない。この状態で飲ませるなんて──俺、我慢できなくなっちゃうよ」
耐えるようなその表情に私の心がくすぐられる。未知を発見したかのような、そんな嗜虐的な思いが溢れ出した。
私はさらに距離を縮める。
そして────ゆっくりその整った唇に己のそれを合わせた。
ふんわりと触れ合ったあと、私は微笑む。
「──いいよ、我慢しないで」
「……っ、紗雪っ」
まるでダムが決壊したかのようだった。
啓一郎さんは私の身体を引き寄せ────勢いよく唇を重ねてきた。
温かくて気持ちがいい。
ずっと重ねてたい。
そんなことを考える私は次の瞬間びくりと肩を揺らした。
口を割り込むようにして先程の水とは違う、なにか別の温かいものが侵入してきたからだ。
「んんっ……ん」
侵入したそれは私の口内を荒らしまわる。
歯列をなぞり、私の舌に絡める。
ざらざらとした未知の感覚に興奮が込み上げ、呼吸が苦しくなり、心臓がばくばくと高鳴っていることが自分でもわかった。
「ンンッんんん!」
啓一郎さんの舌が上顎の手前をなぞったとき、私は無意識に声をあげていた。
敏感なそこをなぞられると身体が未知の疼きを訴える。
息が苦しくて呼吸を求めようとより口を開くと、比例して啓一郎さんの舌が奥へ奥へと侵入し、暴れ回った。
ようやく唇が離れたとき、私は肩で息をしていた。
酸欠で頭が回らない私は目の前の啓一郎さんに視線を送る。彼の表情は今まで見たことのないような────女を求める男の顔をしていた。
私は顔を赤らめながら息切れ切れに名前を呼ぶ。
「啓一郎、さんっ!」
「紗雪っ!」
名前を呼ばれた啓一郎さんは勢いよく私をベッドに押し倒した。
啓一郎さんにいつもの余裕はなかった。