スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜

 啓一郎さんはサイドテーブル置いてあったペットボトルの蓋を開ける。
 情けないと反省しながら啓一郎さんが差し出してくれた水を受け取ろうとするも──。

「あっ」

 どうやらまだ体にうまく力が入らず、ペットボトルを落としてしまう。水がボトルの口から溢れ、ベッドにシミを作る。

 慌てて取ろうとするが、それよりも早く啓一郎さんがペットボトルを手に取った。そして手際良くバスルームにあったタオルで拭いた。

 私は回らない頭でその様子を見ていた。
 申し訳ないなと思いながらも、いつもはかんがえもしないもっと自分のことを心配してほしいという浅ましい欲望が溢れ出す。

 それはいわゆる独占欲だった。

「まだ本調子じゃないよね。それじゃあ──」

 困った様子の啓一郎さんは何か考えついたのかと思うとペットボトルの水を口に含んだ。
 そしていまだぼんやりとしている私に顔を近づける。

「……んっ!」

 唇が重なった。
 目を丸くする私の閉じた口を割り、生暖かい水が口内に侵入する。
 あぶれた水が私の口の端からこぼれ落ちた。
 私は無意識に溢さないようにとこくりと喉をならせて飲み込んだ。

 そうしてゆっくり啓一郎さんの唇が離れていく。
 私はなんとなく惜しいなと思いながら朧げに視線を向けた。

「飲めた?」

 啓一郎さんは笑う。
 
 私が酔っ払っているからだろうか、啓一郎さんの様子がいつにもまして色っぽく感じて頬を赤らまる。私は頭を縦に振り、視線を啓一郎さんの唇へと移した。

 あの口が今まで私のと──。

 私の心の中で本能が囁く。

 もっとあの口に触れていたい。
 触れて欲しい。
 
 私の体はまるで魔法にかかったかのように啓一郎へと近づいていた。
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