スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
 次の日、私は頭痛で目が覚めた。
 うめき声をあげて身体を起こすとどこか怠さを感じる。

 なんとなく記憶にある部屋。
 けれどもいつもの寝室ではない。

 私は寝ぼけ眼で自分の身体を見る。
 どうやらドレスではなく、見たことのないバスローブを着ていた。

「……ん? ドレス……じゃない。バスローブ…………あれ、昨日って──」

「ああ、起きたんだ。おはよう紗雪」

 啓一郎さんの声が聞こえ、私はそちらに視線を移す。

 彼はにこやかな笑みをしていた。
 昨日のような獣のような瞳でない──。

「……って、わ、わ、わ、わたし──」
 
 昨日の記憶がフラッシュバックし、私は固まる。
 獣のようだったのは啓一郎さんだけでない。
 むしろ私の方が恥知らずな──獣だった。

 あのように自分から誘って、そして──。

「……~~っっ!」

 思わず啓一郎さんの視線から逃れるようにシーツをかぶる。
 私は胸元の赤く散る華を見て愕然とした。
 すべて夢じゃない。現実だ。
 
 何度も合わせた唇。
 全身を撫でる手。
 そして啓一郎さんの指先で──。

 私は今日何度目かの声にならない声を上げる。

「……おはよう紗雪」
< 41 / 141 >

この作品をシェア

pagetop