恋に落ちる音  【短編】

 クリスマスが近付き、街のイルミネーションが華やかな色合いを見せている。駅ビルの中に入るとクリスマス商戦真っただ中。ショウウインドウが華やかに飾られていた。
 このままだと、クリボッチだなぁ。出来れば、松堂さんとクリスマスまでに仲良くなってプレゼントを渡したり出来る様になりたい。
 渡せるかどうかわからないけれど、ウインドウを覗いては、松堂さんに似合う物を物色する。
 手袋がいいかなぁ、マフラーも素敵だなぁ。色は、モスグリーンかダークブルーがいいよね。
 松堂さんの姿を妄想しては、店頭のマフラーを眺めて組み合わせる。

 プラザショップに入り、雑貨を眺め、キャップやネックウォーマーを見ていた時、「あれ?落とし物の子?」と、声が掛かる。
 振り返ると松堂さん御本人ではありませんか!?
 えっ!?まって、まって、落とし物の子って!?
 その認識間違っています。《《落とし物を拾った子》》です。
 そして、名前で呼ばれたい。勇気を持って松堂さんに話掛けた。

 「あの、私、小鳥遊 有紀(たかなし ゆき)って、言います。小鳥が遊ぶでたかなしです」

 突然の自己紹介に一瞬キョトンとした松堂さんは、直ぐにニッコリと片エクボを浮かべ

 「じゃあ、僕も自己紹介しようかな?松堂 悠斗(まつどう はると)。ハルでいいよ。ことりちゃん」
 
 「えっ? ことりちゃん!? 」

 「さっき、自分で自己紹介していたよ。小鳥が遊ぶって、だからことりちゃん」
 そう言って、片エクボを浮かべニッコリ微笑む松堂さん。

 私は、松堂さんの謎のネーミングセンスに抗議をしたい気持ちもあったが、
松堂さんが付けてくれたニックネームだと思えば、” ことりちゃん "も可愛く思えた。それに” 悠斗 ”という苗字だけでなく名前を知る事も出来た。

 一歩前進、神様ありがとう。
 




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