こんなにも愛しているのに〜私はましろ
高校合格のお祝いを、以前はよく親子3人で行っていた
イタリアンレストランで食事をすることになった。
もちろん3人ではなく母と二人で。

私は母に父とはどうするのだと尋ねた。

父がシンガポールへ行くということは、どういうことなのかを
いや
父と母とは結局どうしたいのかを尋ねたかった。

「ましろはお父さんのことを許せないのよね。」

「お母さんは許せるの?
私はこれから先もずっと許せないと思う。」

嘘偽りのない気持ちを言った。

「結局は離婚するしないで、ずっとその平行線。
お父さんはひたすら謝って、一緒にいて欲しいって。
一生謝罪しながら、今まで以上に私たちのことを大事にするからって。」

「今まで以上って、、、大事にされていた?
お父さん仕事が忙しいって、家のことは全部お母さん任せで。
おばあちゃまから難癖つけられても、お母さんにおばあちゃまは
悪気はないからって
そればかり。

仕事で忙しいって思っていたら、女の人と不倫しているし。
最低じゃない。」

「そうだね。
お母さんも悲しかった。
もうダメだと思って、離婚を申し出たのだけど、結局平行線で
お父さんはシンガポールに行くって言うし。。。

お父さんがシンガポールに赴任している時間を、冷却期間にしようって
話し合ったの。

もし、赴任中にお父さんに何かあったら、私たち家族のところに連絡が来るし
その反対でもそうだからって、、、縁起でもない話だけど。」

「自分勝手じゃない?
今更家族だの何だの、、、自分があんなことをしておいて。」

私は父のことも、そんな父を理解している風の母にも腹をたてていた。
あんなことがあったのに、冷却期間、、、必要?

「ましろ、、、
いろいろなことがあって、今回のことになったような気がするの。
いろいろなことって、お父さんとお母さんにとってね。
ましろを一番巻き込みたくない形で、巻き込んでしまったのは、
本当にお母さんも申し訳なく思っている。」

「要するに、子供にはわからない理由ってこと?」

私はわざと言ってみた。
母は私からそんな言葉が出るとは思っていなかったらしく
かなり戸惑いの表情を見せた。

そんな表情を見せる母を見ると、また、私にも罪悪感が出てきて

「ごめんなさい。
こんな嫌な言い方をして。。。」

謝った。

「ううん、、、ましろにすれば納得がいかないわよね。
でも
これからしばらくの間、様子を見ると言うことで、納得してくれないかな?」

「お母さんが、それでいいなら、、、
でも、私はお母さんが受け入れても、私は受け入れられないと思う。」

私は自分の気持ちを、はっきりと言った。

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