こんなにも愛しているのに〜私はましろ

西崎くんと手塚くん

翌日
学校へ行くと
いつもと変わらない西崎くんと
少し大人しくなっている手塚くんがいた。

クラスのみんなはそんな二人に少し距離を置いているようだが
試験最終日
人のことなど構っていられないような雰囲気でもあった。

全科目の試験が終了し、
HR後
国松先生にミーティング室へ呼び出された。

きっと
昨日のことだ。

ミーティング室に行くと
手塚くん、西崎くんが既にいた。

「西澤さん、昨日は大変だったね。
西崎くんから聞いたよ。」

国松先生は、お歳はおいくつくらいだろうか?
ラグビーをなさっていると聞いた。
体育会系の先生のような感じだが、
生徒の名前を決して呼び捨てにするような人ではなかった。
かと言って、とても優しい人というわけでもなく、厳しいところも大いにあって
私は信頼をしていた。

「手塚くんの首根っこを捕まえて、あの女子たちに引き渡すなんて
なかなかどうして肝が据わっている。

僕に5分後に来てって言ったけど、どうして5分後だったのかな?
一緒に来てじゃなかったの?」

優しくおっしゃっていたが、全てつつみ隠さずにね、という先生からの圧を
感じた。

「まず
手塚くんが行って、あの状況を把握してもらって、
少し怖い目にあってもらいたかったのと
そのままでは、本当にどうなるかわからなかったので
遅れて先生に来ていただいて、あの状況を見ていただきたかったからです。」

「怖い目、、、
どうなの、手塚くんは。
少しは怖かったの?」

かなりしょげかえっている手塚君に質問された。

「怖かったです。。。まさか、学校まで押しかけて来るなんて、、、」

「西崎くんは、、、」

憮然とした表情をした西崎くんが
低い声で答えた。

「達を殴ろうかと思いました。
先生が来るのが、後5分遅かったら、殴っていました。」

「ほう、どうして?」

「自分で始末もつけられないようなことをしながら、少しも罪の意識が
なくって、、、一番許せないのは、全く関係がない西澤さんまで巻き込んで、、」

「りくとぅ、、、」

手塚君が今にも泣きそうに、西澤君の名前を呼んだ。
< 32 / 117 >

この作品をシェア

pagetop