こんなにも愛しているのに〜私はましろ
「西澤さん。
昨日ね、あの後手塚くんと西崎くんと、あの彼女たちのうち捕まえることが
できた2人を、校長室まで連れて来た上で、いろいろと話を聞いてね。
本当に、西澤さんには災難としか言えないことだったね。

手塚くんを引っ張って来たこと、僕を呼んだことは、咄嗟のことだったが
よく対応してくれたと思う。

今日は、この手塚くんから君に謝罪すること、西崎くんも自分の不甲斐なさから
君を助けられなかったことを謝罪させるからね。」

国松先生は優しく私にそう言ってくださったそばから

「おまえらっ!きちんと謝れ!」

大声で二人を叱責された。
私はその声に脊髄反射の如く、姿勢をただしてしまった。

先生の額に青筋が立っていたことも驚きだった。
今まで
こんなふうに怒っている人に出会ったことがなかったので、心底驚いてしまった。

手塚くんは泣きそうな顔で、西崎くんは緊張した面持ちで私に深くお辞儀をしながら
謝ってくれた。

「あの子たちが西澤さんに絡むきっかけは、塾で初めてあった時に
手塚くんたちが西澤さんのことを、可愛い子が来た、とか、君たちと違って
清純そうなどと言ったことがきっかけらしい。

要するにあの子たちのプライドを傷つけたんだね
本当に西澤さんからしたら、とんだ迷惑だよね。

中坊の言いそうなことだけど、それで絡まれた西澤さんを助けられないのなら
相手を見て物を言え、という感じだね。

中学生を相手にする年上の高校生。
しかも、手塚くんたちの手に負えるような子たちでもなさそうだよ。
どうするかね、、、」

あの人たちは、同じ年の子たちではなかったのだ。
納得。
もっと年上と言われても納得しそうだ。

「西澤さん、試験が終わったばかりの時にごめんね。
もう 帰っていいよ。
これから、この二人の親御さんに来てもらってミーティングだ。

開校以来じゃないかな、男女のもつれで騒ぎが起こるのって、しかも
正門でさ。」

なんだか
大変な出来事のようだった。
確かに他校まで来ての痴話喧嘩って、どういうことだろうって思う。

「私、、、失礼します。」

もうこれ以上深入りはやめよう。
さっさと帰ったほうがよさそうだ。

「うん、そうだね。
ありがとう。」

手塚くんは俯いて、ここまでくると萎びた青菜状態、西澤くんは顔から表情筋が
なくなったようだ。
これから
親御さんが見えられるということは、この二人にとってもっと、大変なことだろう。
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