こんなにも愛しているのに〜私はましろ
他に何の策も思いつかなかった俺は、千花の話に乗った。
ラブホテルに入ると言っても、千花とだから、間違っても変な雰囲気には
ならないだろうし、家族にバレても、俺らのことを知っている身内には
誤解されないだろうと、、、安易な気持ちで。

案の定
千花が現れたことで、あいつは動揺し始めた。
千花も堂々と、モデル事務所で会ったわねと、言った。
一瞬怯んだのは、あの二人を思い出したからだろうか。

それから
ストーキングされているのに気づけば、見せつけるため、
いっそう、俺たちはイチャイチャとした。

後で考えれば
ストーカーだけではなく、他の誰かに見られていたかもしれないんだ。
現に、同じ学校の生徒には見られていたらしい。

達は今回は慎重で、もう、先生に相談しようと、今にも泣きそうに言った。
そういう達にも千花は大丈夫だって、、、と笑い飛ばしていた。

ラブホテルにも入った。
興味津々で部屋を探検した。
千花は慣れているようだった。気のせいではないと思う。
2時間弱、時間を潰して(ゲーム機を持ち込んで二人で遊んでいた)、出ると
あいつはいた。

ラブホテルも何回目かのあの日。

ラブホテルに入っていく俺らの背中に向かって、ストーカーは喚いた。

「そんなことをしても諦めないから!」

正直言って、怖かった。

いつものように時間を潰して出ていくと、いた。
泣いている。
声を上げて泣いている。
まさか、ずっと泣いていたのか?

俺を見ると突進してきて

「私を見て!私のもの!」

わからないことを喚き続けられた。
千花はそんなあいつに強烈なビンタを送った。

「何、気持ち悪いことしてんのよ!」

それから
喚き声の応酬と号泣と、二人の掴み合い。。。
誰かが通報したらしく、警察がやってきて、俺らは補導された。

誰にも迷惑をかけないようにと思っていたのに
結局は
みんなに迷惑をかけてしまった。
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