こんなにも愛しているのに〜私はましろ
この母の妊娠期の思い出は
ほぼ多くの時が
体調が悪く、顔色も優れなかった。
いつもは
明るく溌剌として
軽やかな動作な人だったのに
口数も少なくって
私は
母が今日は元気でいますように、と
お祈りしながら学校から帰っていた。

時々
泣いてもいたし。

泣いているの?
って尋ねたら
泣いてないわよ。
目にゴミが入ったのかな、、、

毎回毎回
同じ言い訳をしていた。

そんなに大変な時でも
まだ
生まれてくる弟か妹に
私は生まれてこなければいいなどと
酷いことを思いながらも
本心は心の底から
誕生を待っていた。

きっと
生まれてきたらお母さんは元気になるし
私もお世話をする。
と張り切っていたのだ。

その頃の父の記憶はない。
今でもそうだが
当時も私の周りには
お父さんが単身海外赴任の家庭の子や
仕事が忙しくて不在がちな父を持つ子
なども何人かいたので
さほど不思議にも思わなかった。


妊娠をしている母と私
それに
理恵おばさんが
私の世界の住人だった。


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