こんなにも愛しているのに〜私はましろ
陸には未だ、本気で好きな人に出会わないのか、双子に忘れられたら
いざという時に困る、と言って定期的に双子の世話を買って出てた。

私が不在の時は、父と二人で双子の相手をしていた。
これは結婚した後に、外堀からゆっくりと埋めて行っていたと教えてくれた。

当然
私の家族から陸は絶大な信頼を取り付け、私は私で時たま連れていかれる
西崎家で、行く度に歓待された。
特に陸のお父様からは、うちのボンクラ息子には勿体無いくらいの
ガールフレンドだといつも言われて、赤面した。

これでも
付き合っていなかったのだろうか。
付き合っていなかった、と思うのだが。
陸もそれらしきそぶりもなく、相変わらず、フットワーク軽く
合コンにも行っていたので、きっとその子たちも家に連れて行っていると
思っていた。

大学でも時々、陸と飲み会が一緒でとても楽しかった等々を、
わざわざ私に教えてくれる女子もいた。
よかったねと言いたいが、私は陸がまた高校の時のように、女子を
巡って厄介ごとに巻き込まれなければいいなぁと、切に思っていた。

陸と私の間に川があるとしたら、その川のあちら側とこちら側
その距離が私に安心感をもたらしていると、本当にそう思っていた。

だから陸が隣に私以外の女子を連れていても、別段嫉妬めいた気持ちには
ならなかったのだが、、、
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