冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


 でも、せっかく実力があるのに、他人に依存して自分を信じられなかった宇一さんが、少しだけ不憫に思えた。

 するとそのとき、美香さんに尋ねられる。


「そういえば、ラスベガスといえば、どこのホテルにも広いプールがあるじゃない? 水着はもう準備したの?」

「あ、いえ。考えてもいませんでした」

「そうだったのね。せっかくなら買っておくのはどうかしら?」


 たしかに、泊まる予定のホテルにもプールの設備があった。昔に買ったものはサイズが合わないし、新しく用意した方がいいかもしれない。

 新婚旅行の話が出てから頭の片隅には考えていたが、服の下にある肉割れがどうしても気になって、買う勇気が出ずにいた。美香さんの後押しがなければ、プールに入る気もなかったかもしれない。

 十二月のショッピングモールには水着を取り扱う店舗が見つからず、ネットでの注文を検討することになる。

 美香さんとカフェに入って通販サイトを眺めるが、ビキニのモデルさんを見て、自分が着ると思うと恥ずかしさでクラクラした。

 周りの人は私のことなんて目に留めないだろうけど、どうしても視線を気にしてしまいそうだわ。


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