冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


「これとか、藍さんにとても似合いそう」


 美香さんが指したのは、バストのフロント部分がクロスしたデザインのビキニである。黒地に白のリーフプリントがされていて、シンプルながらもクールで華やかな印象だ。

 可愛いな。好みの柄で、目を輝かせる。

 水着なんて久しく着ていないし、着るつもりもなかったけれど、椿さんと一緒にプールで遊びたい自分がいる。新婚旅行が楽しみで浮かれているんだわ。

 恋人になってから椿さんとふたりで出かけるのも初めてだ。はしゃぎすぎるくらいがちょうどいいのかしら。

 宇一さんに振られたときは、標準体重よりもずっと太っていて『隣を歩くのも勘弁』と愚痴を言われていたな。

 きっと、椿さんは私の体に引いたりしない。私をステータスのように扱わないし、一緒にいて恥ずかしいだなんて絶対思わないし、口にしないだろう。

 改めて、椿さんが好きだという気持ちが込み上げた。怖がらなくても大丈夫かな。

 自分のことのように真剣に悩んでくれる美香さんに勧められるがまま、勢いで購入してしまった。

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