冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


 彼の車で想いを伝え合った日に、コンプレックスをカミングアウトした。


『醜くない。それは、藍がつらい過去を乗り越えてきた証だ』


 力強い言葉で認めてくれた椿さんは、私のことを一番に考えて、あえてランコントルホテルのプールに連れてきてくれたのだ。

 デッキチェアに歩み寄ると、腰掛けたままこちらを見上げる。


「俺に見せるのも嫌か?」


 まっすぐ見つめられて、数秒黙り込む。

 勇気を出して、ゆっくりビーチガウンを脱いだとき、私の腰に腕を回して脇腹にキスをされた。

 驚いて体を揺らした瞬間、色気を帯びた甘い笑みに心臓を撃ち抜かれる。


「綺麗だ」


 どくんと胸が大きく脈打った。

 椿さんに出会って、何度キュンとさせられただろう。魅力のある彼から、目が離せなくなる。


「さっ、思いきり遊ぶぞ」


 私の手を引いてプールサイドを歩いた彼は、先にプールへ入った。椿さんの胸まで浸かるほどの深さで、ドキドキする。

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