冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした


 一面、見渡す限りの青で、広いプールサイドにはサイドテーブル付きのデイベッドもある。

 さすがに営業はしていないが、スパの設備も整っていて、極上の空間だ。

 椿さんは、デッキチェアに腰掛けていた。

 黒地にエメラルドグリーンのグラデーションがかかった、膝上丈のサーフパンツを履いている。

 しっかり六つに割れた腹筋と、ほどよく筋肉質な胸板が視界に飛び込んだ。


「藍も黒い水着を選んだのか。似合ってるな」

「そ、そうかな。ありがとう」


 さらりと声をかけられて、つい、ビーチガウンで肌を隠す。

 きょろきょろと辺りを見回すが、誰ひとりいない。てっきり、他にも従業員が楽しんでいると思っていた。


「そんなに周りを気にしなくても、俺たちの貸し切りだぞ」

「貸し切り!?」

「ふたりきりのほうが楽しめるだろ?」


 まさか、こんなに広いリゾートプールを貸し切りだなんて。本当に夢みたい。

 もしかして、私が肌を隠していることを配慮してくれたの?

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