冷徹ホテル王との政略結婚は溺愛のはじまりでした
相変わらずの穏やかな笑みで、口にしているセリフは容赦がない。
瑠璃川財閥は、久我ホールディングスと業務提携があり、それなりの恩恵を受けて大手へのし上がったと聞いていた。
自分の立場にあぐらをかいて、取り返しのつかない言動をしたと今さら理解をした彼女は、急いで椿さんに駆け寄る。
「待って、椿! ごめんなさい。久我家やあなたの悪口を言うつもりじゃなかったの。たいした家柄でもないくせに、妻気取りをしてるこの女にわからせたかっただけよ。どうせ、体裁を保つように彰嗣さんに命じられた政略結婚なんでしょう?」
腕にすがりつく瑠璃川さんを振り払った。
アーモンド型の目を大きく見開く彼女に、微笑の仮面をとった椿さんの冷たい視線が突き刺さる。
「藍は俺が選んだ女だ。ビジネスの関係で優しくしていたけど、いつまでも俺が甘い顔をしてると思うなよ」
「……つ、椿……」
「なんてね。独り言ですから、お気になさらず」