“好き”じゃない勝ち・“好き”の負け
「……。嬉しかったよ」

「えっ……」



予想してなかった言葉に、目を見開く。


「なんだか、礼に愛されてるんだなって思えたから」



「もちろん愛は私の方が上だけど」と言って、火照った顔で笑った。



「文乃……。ありがとう」


自然と、僕もつられて笑う。


僕たちは小さい頃から幼なじみで、二人とも兄弟がいて、近所に住んでる子たちとも兄弟みたいに育ってきた。


そのせいもあってか、付き合うきっかけになった告白以外で、想いを伝える機会はほとんどなかった。



でも今日、改めて文乃のことがが心から好きで、大切な存在なんだって気づけた。


これからも僕の隣に居てくれたらって心の中で願い、もう一度、そっと優しく文乃を抱き締めた。
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