じゃんけんぽん
それなのに。

「怖い、んだけどぉ。来海ね〜、あたしに“だけ”すっごく親切なんだよねぇ。あ、全然自慢とかじゃないよ!?」

琉々に“だけ”?

私は呆然と廊下に立ち尽くす。

それって…。

不意に唇をギュッと噛み締める。

信じたくないけれど、来海と琉々は同じクラスで、私は違うクラスだから、疑えるだけの根拠がない。

ゆらり、と再び静かに視界が歪む。

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