じゃんけんぽん
その様子を見兼ねたのか、来海はふわりと微笑むと、どかっと階段の途中に腰掛け、隣に私を誘導する。

「泣き虫羽乃、変わんねーな」

腰を下ろす私に、来海はニヤリといたずらっ子めいた表情をしてみせる。

「うるさいですー。来海は相変わらずのサボり魔っぷり発揮しちゃって」
「サボりじゃありませんー」
「じゃあ、何?」

来海は、ぷいと視線を逸らすと、ほんの少し頰を色付ける。

「羽乃が1人で居るのが見えたから、来た」

きっと、私が落ち込んでいるのを遠目で察したんだろう。

あぁ、もう。

「それをサボりって言うんじゃないの」

これ以上、私に優しくしないでよ。他意がないと知っていても、期待してしまうから。

無駄な期待は、もうしたくないの。

「あれ、また泣きそう!?」
「…気のせいじゃない?」

今度は私が目を逸らし、一生懸命にパチパチと瞬きを繰り返す。ちょっと涙声になっちゃったかも。

すると突然、ズン、と肩に重さがのし掛かる。

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