じゃんけんぽん
「嘘だ」
「え」

来海の視線と私の視線が絡み合う。来海の綺麗な瞳に、私の動揺した顔が鏡の如く映し出されている。

「羽乃がそうやって乾いた笑みを貼り付けるのは、何か隠してる時だって俺知ってるよ。小学生からの付き合い、あんまりあなどんなよ?」

そういうとこには、気付いちゃうんだ。

また、キュッと胸の奥が苦しく、締め付けられる。


…隠さなきゃ、いけないんだよ。

隠してなきゃ、来海ともっと離れちゃうでしょ。それは、嫌なの。

すると来海は、今の今まで纏っていた軽い雰囲気を思いっきり投げ飛ばし、真っ直ぐに私を見つめる。

その顔付きは、誠実さに溢れていた。

< 15 / 21 >

この作品をシェア

pagetop