乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「ま、まあ、それは」

にこっと天清さんは笑った。
その笑顔が危険なのだ。
人の警戒心をゼロにさせてしまう。

「はい、おいでー」

腕を掴んで抱きしめると、どさっと布団に寝転がった。
いやいやいや!?
この体勢はおかしい!
ぐぬぬぬっと腕をはがそうとしていると、天清さんの腕の力が強くなり、背後から顔をのぞかせた。

「ちっ、近すぎますっ!離れてっ!」

「月子は面白いな」

耳元で声がしてぞくりとした感覚が襲って、身を固くすると天清さんは悪い顔をした。

「添い寝って、これくらいの近さを言うんだよ?知らなかった?」

抱きしめられて眠れるわけがない。
しかも、手が……む、胸に当たってない!?
手だけじゃなくて、体が密着しすぎなんだってばー!!
じたばたしていると、ふっと耳に息が吹きかけられた。

「ひゃっ!?」

「暴れないで。ま、確かにこれじゃ眠れないか」

自分の方に体を前に向けさせると、私の頭を自分の腕にのせた。
う、腕枕!?
私、腕枕されている!!?
目をカッと見開き、眠るどころか、目が冴えてしまった。

「じゃ、おやすみ」

「お、おやすみなさい?」
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