乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「うん、そうだね、月子」

突然、ぺたっとおでことおでこをくっつけられ、ひえっ!と後ろに下がると天清さんは笑った。

「もう熱はないみたいだ。顔は赤いけど」

「ふ、ふ、普通に熱を計らせてくださいっ!」

ううっ!せっかく平常心を取り戻したと言うのに。
また胸の動悸がっ!

「元気そうだから、言っても大丈夫かな」

「なんですか?」

「今週の日曜日、新崎家(あらさきけ)に一緒にきてほしい」

結婚したら発生するイベント【親戚付き合い】っていうものだということは私にもわかった。
以前の私なら、即答で『いやです』と答えていたと思う。
だけど、今は。

「わかりました。新崎家に伺います」

私は天清さんの妻でそれは避けて通れないと思った。
いつもの無邪気で明るい天清さんの顔が曇っていて、気になったというのものあるけれど―――

「ありがとう、月子」

お礼を言われるようなことじゃない。
でも、天清さんは隠しきれてない目の険しさと表情の固さに悩んでいるのだと思い、そっと手を握った。
天清さんの表情が和らぎ、私の顎をつかむと唇を重ねた。

「天清さっ…ん…」
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