Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
朝は忙しさで胸キュンどころではないというように、赤くなったツカサには気づかずバッグの中身を整理する。

「ツカサくん、これね」

食器を並べ終わりまだ濡れている彼の手に、黄色い風呂敷に包まれたとある物を持たせた。

「……なんだこれ?」

「お弁当。お昼に食べてね」

「えっ」

ツカサの手が、風呂敷ごと震える。

「いちいちそんな顔しないの。栄養とって風邪治してもらわないと、出世払いできないもん」

〝出世払い〟という言葉にツカサはキリッと目尻を上げ、「わかった」と受け取る。
そのまま、大事そうにそれを両手に乗せた彼は、比菜子とともに廊下へ出て、建物の共用玄関へ降りた。

「比菜子。いってらっしゃい」

手のひらを見せて揺らすツカサに、比菜子はゴクリと唾を飲み込む。

「う、うん。……いってきます」

(〝いってらっしゃい〟……か)

心がぽかぽかする甘い感覚を覚え、ヒールの足取りは軽く弾んだ。

(うふふ……悪くないかも)

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