Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
暗い路地を並んで歩く。
低い建物の間の上空に、星と月が見えている。
「オリオン座はっきり見えるようになったね」
頭をもたげ、三つ並んだ小さな星を指差すと、ツカサも顔を上げた。
「そうだな」
少し開けた場所へ出ると、圧倒的な夜空が広がる。ストローを咥えたふたりは一瞬見とれ、立ち止まった。
「……俺、バイトでさ」
ふいに、ストローから唇を離したツカサは、星空を見上げたまま話し出す。
「ん?」
「バイトで、トイレ掃除とかやるんだよ」
「そうなんだ」
「やったことなかったし、やりたくなかった。でも怒られてやらされて、できるようになった。今までも俺が使ってたトイレは誰かが掃除してたんだって思うと、やらなきゃって思う」
「……うん」
(偉い。泣きそう)
「他にも、いずれキッチンも入れって頼まれてるから、料理も少しはできるようになると思う」
比菜子はウンウンと相づちを打った。
「そっか。バイト始めてよかったね」
「それもそうだけどさ。……そうじゃなくて」
ツカサは彼女に、向き直る。
比菜子もそれに気づき、「え?」と疑問を浮かべながら隣に体を向けた。
「比菜子に会ってから、すげぇいいことづくしだなって話だよ」