Kiss Me Kitty! ~年下猫系男子とゆる甘アパート生活~
その瞬間、〝ピシッ〟と音を立て、比菜子の顔面は凍りついた。
「オ、オ、オ、オバ……?」
「紛らわしいんだよ! そんな短けー服着てたら、学生だと思うだろ!」
「なっ」
ショーパン姿だった比菜子は思わず両手でTシャツの裾をビヨンと下まで引っ張って、丸出しだった膝小僧にひっかけ、しゃがみ込んだ。
「なによ! アラサーでも家じゃこれくらい普通に着るわよ! なんなのいきなり生意気ね!」
「こんな安いアパート住んでんのは貧乏学生だけかと思ってたぜ。普通の大人がなんでこんなとこ住んでんだよ! なんで大人なのに金ねーんだよ!」
ツカサの表情は憎たらしく移り変わり、容赦ない言葉を叩きつけてくる。
図星すぎた比菜子は一瞬だけ泣きたくなったが、すぐにキッと彼を睨み、負けじとノブに手を伸ばして彼を外へと追いやる。
「はぁー!? なんなのアンタ! 悪いけど、躾のされてない野良猫とは関わりたくないから! オバサンは忙しいので! じゃあね!」
勢いよくノブを引き、扉は閉まるかに思えたが──。
「待てよ!」
「ギャー!」
ツカサは閉まる直前に扉の隙間に体を挟み、比菜子の部屋の領域に食い込んできた。