【完結】余計な愛はいらない。
彼はオーブントースターからトーストを二枚取り出すと、お皿に乗せて持ってきてくれた。
「美味そうに焼けたぞ」
「あ、ありがとうございます」
「イチゴバターをたっぷり塗ると美味いぞ」
「そうなんですか?」
彼はイチゴバターの蓋を開けると、スプーンに掬ってそれをトーストにたっぷりと塗りだした。
「え、そんなに……?」
「これくらいが美味いんだって」
と言いながら彼は、熱々のトーストを口いっぱいに頬張りだした。
「美味い。……ほら、杏実も食えよ」
「は、はい。……いただきます」
わたしもトーストにイチゴバターを塗って、それを口にした。
「どうだ? 美味いだろ?」
「……はい。美味しいです」
初めて食べたけど、すごく美味しい。甘酸っぱいのに濃厚で、コクがある。
「これ俺のオススメだから、覚えておけよ」
「……はい。分かりました」
この人って……優しい人、なんだな。
「そういえば、あなたの名前聞いてなかった……ですよね?」
わたしは彼の名前を知らないから、多分聞いていない。……と思う。
「野瀬颯人(のせはやと)」