【完結】余計な愛はいらない。


「杏実、適当に座ってろよ」

「は……はい」

 わたしは昨日、初めて会った人とあんなことを……。
 わたしが軽い女、とか思われてたらどうしよう……。

「杏実、お待たせ」

 目の前にいたマグカップを置いた彼は、わたしの斜め前に座った。

「杏実、昨日はよく眠れたか?」

「……あ、はい」

「杏実、玲音って……元カレ?」

 いきなりそう聞かれたわたしは「……え?」と返事をした。
 なんで玲音?わたし、何か玲音のこと話したっけ……? でも話した記憶がない……。

「昨日、寝言で゙玲音゙って呼んでたから」

 そ、そうだったんだ……。だから玲音のことを聞いてきたんだ……。

「そんなに好きだった訳?玲音って男のこと」

「……あなたには、関係ない話ですから」

 一夜を共にした男に、元カレの話なんて……。出来る訳がないって。

「昨日俺に抱かれたんだから、関係なくはないだろ?」

「……そ、それはっ」

 そう言われたら、そうなのだけど……。

「元カレなんだ?」

 そう聞かれた時、オーブントースターから音が聞こえた。

「お、焼けたな。ちょっと待ってろ」
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