ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
「顔、ニヤけてるよ。」

『そうかも。なんだか嬉しくて。』

「綺麗って褒められて?」

『それもそうだけど、それよりも獅子谷くんかな。』

「俺?」

『うん。獅子谷くんも人に興味持つようになったんだなって。』

「何言ってるの。」

『私のこと綺麗だって思ったってことは、私に興味持って見てたってことでしょ?』

「そうなるのかな。」

『あれだけ周りに興味持たなくて、持とうともしなくて、死のうとしてた獅子谷くんが、人に興味持つようになるなんて、嬉しいに決まってるじゃん。』

「どんな、立場だよ。」

『獅子谷くん自殺防止部、部長としての立場かな。』

「それ今考えたでしょ。」

『正解。笑』

「やっぱり。」

『あと、獅子谷くん、表情豊かになったよね。』

「…そうかな。」

『うん。そうだよ。入学当時なんかずっと目死んでて、瞬きするのか心配だったし。』

「そんなに?笑」

『そんなに。でも最近はちがう。あ、どんな感じか教えてあげようか?』

「いいよ、そんなー。」

『まず、笑顔が割と可愛い。母性本能くすぐるタイプの笑顔だね。』

高野さんは勝手に話し始めた。

『あと、恥ずかしくなると耳がすっごく赤くなる。それと、美味しいものを食べた時、1回目をまん丸にして、そのあと幸せそうに閉じるの。』

「細かいな。笑」

『そのくらい表情豊かなんだよ。今言ったけど、笑った顔なんか特に可愛いしね。ライオンはライオンでも、赤ちゃんライオンだな。』

「ちょっと馬鹿にしてるよね?」

『全然?笑』

俺、そんな風になってたんだ。

自分じゃ意識してないから気づかなかった。

きっと、そうなったのは高野さんの近くにいたからで…。

高野さんは、周りを明るくする人だから。

ひまわりみたいな人だから。

『あともう一個、言いたいことあるんだ。』

「まだあるの?」

『これで最後だから。入院して、改めてお礼言わなきゃなって思って。』

「お礼?」

『この前の旅行。旅行から帰って、すぐに歩けなくなったの。お医者さんにも、旅行中に歩けなくなってもおかしくなかったんだよって怒られちゃった。』

「そうなんだ。」

『もし、獅子谷くんがついてきてくれなかったら私、1人で旅行行ってたから…そしたら危なかったかもしれない。だから、本当にありがとう、獅子谷くん。』 

「…どういたしまして。」
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