ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
『今日いい天気だね。』

「そうだね。」

『どうせなら外出たいな。』

「外は暑いよ。病院探検のが涼しくていいって。」

『今日ね、久しぶりに1日自由なの。』

「とらわれでもしてたの?」

『まぁ、そんなとこ。笑 まだ、治療法が見つかってない病気だからさ、データ取ったりとかしないといけないらしくて、お医者さんも私も大変。笑』

「…お疲れ様。」

『今日のオフも治療の一環なんだよ。閉じ込めすぎると人っておかしくなっちゃうから。』

「着きました。」

『おお。ありがとう。入ろ!ここのパフェ結構いけるらしい。』

俺たちはカフェに入り、高野さんはおすすめだからとパフェを2つ勝手に頼んだ。

「お待たせいたしました。フルーツパフェでございます。」

『ありがとうございます。ね、獅子谷くん。美味しそうでしょ?』

「うん。いただきます。」

『いただきます。』

「…うまっ。」

『でしょ?笑』

「うん、おいしい!」

『よかった。あ、そうだ、獅子谷くんに聞きたいことあったんだよね。』

「聞きたいこと?」

「うん。これ見て。」

そう言って、高野さんはスマホを見せてきた。

画面には、俺が勝手にひまわり畑で撮った高野さんの写真があった。

「えっと、これは…。」

『獅子谷くん、これ勝手に撮ったでしょ?』

「…撮りました。」

『やっぱりそうだよね。私、横顔撮ってなんて頼んでないし。』

「…すみませんでした。」

『なんで謝るの?綺麗に撮れてるのに。』

「…え?」

『安心安全な世の中だったらSNSのアイコンにしてるレベルでいい写真だよ。すっごくお気に入り。』

「じゃあ、なんでその、なんていうか、問い詰めてくるの?」

『え?いや、だから、頼まれたことを誠実にやる獅子谷くんが、なんでこんな写真撮ったのかなってちょっと気になったから。』

「…特に理由ないです。気にしないでください。」

なんとなく、後ろめたかった。

『それ、なんかある人の言い方じゃん。』

「そんなことないよ。」

『もしかして、私に惚れちゃった?笑』

「な、何言ってるの?!ちがうよ。」

『あ、ちょっと動揺してる。』

「惚れてるなんてことはない。絶対ない。決してないから。」

『それ、少し失礼じゃない?』

「え、いや、その、だから…ごめん。」

『それで、なんで撮ったの?自覚のある理由はあるんでしょ?』

「…あの時、少しっていうか…一時的にっていうか…。」

『ハッキリ言って。』

「綺麗だなって思ったんだよ。」

『…え。』

「綺麗だなって思って気づいたらシャッター押してました。これでいいですか。」

『獅子谷くん、よくストレートにそんなこと言えるね。』

「高野さんが言えっていったんじゃん…。」

『まぁ、そうだけどね。笑』

高野さんは、ほんのりニヤついていた。
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