ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
〜明後日の放課後〜

「獅子谷。」

檜山さんが話しかけてきた。

「何?檜山さん。」

「ちょっと、お願いがあって…。」

「お願い?」

「ノート見せて。」

「…なんの?」

「なんでもいいから今日の授業のノートみせて。」

「…はい、どうぞ。」

俺は数学のノートを檜山さんに渡した。

陽葵李さんに見せるためにいつもよりキレイに書いたつもりけど…大丈夫だろうか…。

人に自分のノートを見せるのは少し恥ずかしい。

「…すごいキレイ。これ、陽葵李に見せてあげてよ。今、盲腸で入院してるから。」

「わかった。この後、届けるよ。」

「お願い。私のノート届けようと思ってたけど獅子谷のノートの方がわかりやすいと思うから。」

「ノートなんて、そんなに変わらないと思うけどね…。」

「私も今まではそう思ってたよ。でも、やっぱり勉強できる人のノートは違う。ただの板書とは大違い……陽葵李のお兄さんがそうだった。」

「高野さんのお兄さん?」

「うん…私、数学苦手で、受験前に陽葵李のお兄さんに教えてもらったことがあるの。」

「そうなんだ。」

「ノートも見せてもらったことがあってさ、すごく綺麗で教科書よりわかりやすかった。」

「それは、すごいね。」

「獅子谷のノートもそうじゃん。なんか、お兄さんのにすごく似てる。わかりやすい。」

「俺もすごく受験の時にお世話になった人がいて、これは、その人のノートの取り方真似してるだけ。」

「そーなの。」

「うん。その人、教師目指してて、だからわかりやすいノートだったんだと思う。」

「やっぱり、そういう人ってノート綺麗なのかな?陽葵李のお兄さんも先生になろうとしてたし。」

「そうなのかもね。」

「また、陽葵李のお兄さんに勉強教わりたいな。数学の点数落ちてきたし…まあ、無理なんだけどさ。」 

「…亡くなってるんだもんね。」

「うん、まぁ生きてても無理だったかも。自分の生徒教えるので忙しいと思うし。」 

「自分の生徒?」

「うん、お兄さん中学校の英語の先生になる予定だったから…。」

「…そうなんだ。」


ハルマくんと一緒だ…。


「あ、もう帰らなきゃ。じゃあ獅子谷、ノートよろしくね。」

「…うん。」
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