ひまわりが枯れるとき、ライオンは…
「…俺がライオンなら、高野さんはドロシーかな。」

『ドロシー?私が?』

「オズの魔法使って、かかし、ブリキ、ライオンはドロシーについて行って勇気を手に入れたってオチだよね?」

『うん。』

「だから、ドロシーかなって…。」

ダメだ、うまく説明できない。

『…なるほど。』

高野さんもあまりピンときてないようだ…。

「えっと、文化祭は出れるの?」

無理やり誤魔化した。

『うーん、多分無理かな。』

「…体調、良くないの?」

『ううん、新しい治療を受けることにしたんだ。』

「…新しい治療。」

『新しい薬ができたらしくて、それを試すことにしたの。変色のスピードを遅くできるかもしれなくて、うまくいけば変色が止まるかもって…。』

「…そっか。」

『今後の治療の予定を見た感じだと、文化祭は出れなそうなんだよね。だから、写真よろしくね。』

「え、写真?」

『ライオンコスプレの獅子谷くんと六花の写真が見たいな。』

「何言ってるの?!そんなの無理ー。」

『チャレンジしてないのに無理って言わないで。』

「…努力はする。」

『よろしく。楽しみにしてるからね。』

高野さんは、ひまわりみたいに笑った。
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