僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
彼女はできたのかな?・・・・・
「きゃあ!祐ちゃん!!指切れてるよ!!!」
「あ、っつー、ほんとだ、でも深くないよ。大丈夫」
「ああ、だめだよ、舐めちゃ!ばい菌入るから」
冷水で血を流して、清潔なナプキンで指を巻くように覆って、その上からギュッと抑えてくれた。
「もう、危なっかしいなぁ。深くいっちゃったらどうすんの。将来舞台監督になるんでしょ!しっかりしなさいね」
「・・・・・・ごめん」
ぐうの音も出ないほど叱られて、俺は再び包丁禁止令の刑に服すことになった。
ズキズキと痛むのは、指だったのか、それとも…
「ったく、ユウに包丁は早いだろ」
「だってぇ、最近は上手になったし、いいかなって思ったんだもん」
「やらせるなら目を離すなよな」
「ごめんって、紫音くん」
少し血が治まってきた指を確認してる紫音。
けがの程度をみたあと、新しいガーゼに取り換えてくれる。
それを補佐するようにほのも横につく。
「ごめん、元はといえば俺がぼーっとしてたからさ」
「「・・・・・・」」
ツンケンしながらも、黙々と手当てしてくれる二人。
せっかくのおかえりパーティーが、俺のせいで少し喧嘩っぽくなっちゃった。
でも、中途半端な料理を二人で凄い速さで仕上げていくうちに、なんとなく固い雰囲気がほぐれていく。
「うっわー、そんなにお砂糖入れるの?」
「いいだろ?だって俺のためのケーキなんだから」
「もう、それじゃあ、祐ちゃん食べれないじゃないのー、ねえ?」
「んー?」
どちらともない返事をした。
楽しそうに喧嘩してる二人をカウンター越しに見つめる。
よかった、早めに仲直りしてくれて。