僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
まともに話せるのを待ってみた。
だってそのまま会話したら、失礼極まりないほど笑ってしまいそうだったから。
「仕事は、いつからですか?」
「ん、来週の土曜からなんだ」
「そうですか」
”ごちそうさまでした”ってつもりなのか、手を合わせてデザートにお辞儀してる。
いちいち可愛いな。
「じゃあ、もう昼だし、行くわ。お邪魔しました島崎さん」
「あ…、実家に帰るんですか?」
「いいや、実家は神奈川から遠い山奥にあるんですよ。ちょっと都内への通勤には向かないので」
「じゃあ、どこに?」
「———紫音が住んでいるマンションです。もう帰っただろうし」
「え?」
「紫音があのマンションに女連れ込んでるのはびっくりしたけど、あいつの性格上もう帰してるはずだから」
「あ、ちょっと」
”ではではー”とばかりに荷造りしだす詩安さんに声かける。
「あの…一緒に住んでいるんですよ?」
「ーーーーーーハァ?———マジですか?」
「マジ、なんです」
ついでに―――は言えないけど
俺も一緒に…住んでました。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・みゃ?」
***
「あ、これいいじゃないですか?寝具5点セット。ほとんど入ってますよ」
「え?すっごい薄い段ボールですね・・・本当に全部入ってるんですか?」
「ああ、真空になってて開けると膨らむんです」
「マジですか!」
「詩安さんはーーーだいぶ日本に居ないのですね…」
「はい、トータルしたら8年くらいは…」
「長いですね」