僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~

”あざとく”の定義って何だろう?

たぶん俺はズルくて、あざとい人間だ。

ふたりがああならないようにって、裏で手回しし続けたんだもん。


「ハァ―…食った―…。あ!あれさ、冷蔵庫のあれ、この間開店したんだろ?本店がイタリアで、いま住んでいる家の近所にあるんだよ」

あれって言うのは、たぶんあれか。


「ああ、食べます?」

「え!なんで?誰かのお土産じゃないの?6個もあったよ?——あ」

・・・中見てるし。


「いいんです食べましょう」

「ホント!ありがとう!いや~旨そうだ、幸先いいな~」


凄くおいしそうに食べる、この人。

この人も甘いの好きなんだな。


「仕事で来たんですか?それとも休暇?」

「あむ、ひこほ(うん、仕事)」

何だろう?天然?
この人本当に紫音のお兄さん?

冷たくてミステリアスな印象の紫音とは違って、この人は何だか愛嬌がある気がする。

「…これからどうするんです?」

「むー・・・」


むーって、そんなに口いっぱい頬張って真面目に考えないでほしい…。
最初の印象と随分違うな。

なんか見てて飽きないっていうか、目が離せないっていうか。
心なしか気持ちが軽くなってる気がする。

いやいや・・・・ちょっと待って
俺、あの二人に浮気されて人生のどん底なはずなんだけど…。

なんだろう、この気持ち…。

一晩でこんなに闇が消える事…今まであったかな?


最初の感じだったら、怒りっぽい人なのかなって思ってた。

でも、なんか違う。

感情が素直に出るタイプなのかな?

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