僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
そう考えたら目頭が熱くなった。
俺の涙がポツリと手元に落ちて、アップルが不思議そうに見上げていた。
「ごめんな・・・びっくりしたな」
舌なめずりしながらも俺を見上げて、またチュールを食べだした。
実家には帰れない。
両親まで変な目で見られるのは可哀そうだ。
だから、俺はここで
また一人で生きていくんだなって思ったら不安になるけど、生きていくしかない。
死ぬ勇気なんて、ないし。
自分が死ぬことで、両親を悲しませたくないし
紫音や穂香にだって自分たちのせいだって自惚れさせたくない。
あんだけ虚勢を張ったのに、死ぬとかさ、情けないにもほどがある。
だけど、ゴールが見えない暗闇を歩いていくのはやっぱり怖かった。
寂しさで泣くこともあったけど、アップルのおかげて比較的穏やかな3日間過ごした時、詩安さんは帰ってきた。
「ただいま、お土産」
北海道といえば白い恋〇
「ありがとうございます」
その袋を受け取り、彼の手に目がいく。
「・・・どうしたんですか?その手」
赤くはれているし、少し切れて瘡蓋になっていた。
「ああ、ちょっと」
「ちょっと?大丈夫ですか?美容師なのに、そんな大事な手が―――」
「いいんだ、これ食おう。コーヒー淹れて?」
「・・・はい」