僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「あれ?この人って、アレだよね」
「———うん、どこかで見たことあると思った」
ステージ上には日本じゃ誰もが知ってるボーカリストの姿があった。
「すっげ――…ヘッドライナーのバンド…息子でもおかしくない年齢だよな?」
「うん、たぶんそうだよね」
日本で成功してるのにも関わらず、こんな小さな海外のライブハウスで挑戦している彼の姿はとても熱かった。
しかもトリのバンドは5年前にデビューしたバンドで、親子ほどの差があるのに。
「カッコいいな」
「うん」
ほんと、カッコイイよ。
ここの会場にいる人たちは彼のことを知らないと思うけど
俺たちには日本で凄く有名な人だって分かるからさ
こうやって挑戦し続けている姿を見れば、この人は伊達なんかじゃないって分かる。
「よう、元気?”祐ちゃん”」
そうやって呼ぶのは二人だけ。
穂香と、もう一人
振り返ればそこには”話題だった人”がいた。
「お久しぶりです、リュウさん。もしかして――」
「うん、そう。元事務所先輩が独立してね、海外のブッキングエージェントと契約したんだ。俺はあの先輩の付き人してる」
「そうでしたか―――。ケイは元気でしたか?」
「うん、あっちにいるよ」
何となく詩安が体を付けてくる。
”大丈夫だよ”
安心させるために手を繋いだ。
「———恋人?」
「はい」
「鮫島詩安です」
「———リュウです、以前は島崎さんにお世話になりまして―――…」