僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「詩安くん。悪いけど、来年からは契約更新しないよ」
「え・・・どうしてですか?」
「どうしてもこうしてもないよ。数ヶ月って約束だっただろ?それに一度自分から自主退社してるじゃないか」
「いや・・それは・・」
紗子が…
紗子が急に海外に行くなんて言うっからさ。
英語も出来ないあいつが心配で、ついていこうと思ったんだ。
結局はレイカとかいうわけ分かんないSPみたいな女がきて、「ガキは引っ込んでろ」とか言われて帰る羽目になっちゃったけどさ。
「僕はやっぱり一人で切り盛りした方がやりやすいんだ、分かってくれ…それに・・」
俺がカット練習していたマネキンの髪をゆっくりと確認しながら言葉を続ける。
「君はなかなか筋があるよ。こんなところでくすぶってちゃダメだ…。学ぶべき場所を間違えてはいけないよ」
「・・・いいんです、俺は、ずっとこの街に居たいんですから…お願いします!もう少しここで働かせて下さい」
それから、俺がいくらお願いしても先生は縦に首を振ることはなかった。
”頑張ってくれたからね、年末まではいいけど、それからはあちらに帰る用意をしなさい”
この場所で、生涯を終えて骨を埋める覚悟で来たつもりだった。
でも、その夢は叶いそうもなく、俺はどうしようもなくガキなんだって思い知った19の秋。
色んな夢が砕け散って、俺はどうかしてたんだと思う。