僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
俺に向かって不敵に微笑んでいるのは、呑みサークルの先輩である「鮫島紫音」先輩。
大学入りたてのころ、この人にしつこく勧誘されて入ったんだ。
最初のうちは顔出してたけど、なんか意味のないサークルっぽくてやめた。
呑むだけだし、いつの間にやらホテルにでもいったのか消えてる人らはいるし。
要はそれが目的のように見えてしまったんだ。
せっかく大学に通わさせてもらってるのに、お金をそういうので使ってしまうのももったいない気がした。
参加してれば、なにかしろ刺激があり、身につくものもあるかも知れないけど、そうゆうのを無理やり探してるみたいでなんか嫌になってしまったんだ。
それで、人と関わらないようにしてたけど、そんな俺を心配したのか、こうやって個人的に連れ出してくれる。
「ねえねえ、うちらと呑まない?」
紫音先輩は目つきが鋭くバランスのいい顔立ちで、知的な印象を与えるクールなイケメンだ。
誰がどう見てもカッコいい先輩と一緒に居ると、こうやって逆ナンされるのは毎回のことだった。
「―――どうする?ユウ」
また俺に振る。
「いいですよ」
っていうしかないじゃん。
「だって。良かったね君たち」
紫音先輩がその子たちに声掛けしたら、嬉しそうにはしゃいでいた。
しばらくクラブで呑んではしゃいで、それに飽きたらカラオケに入る。
その頃には何となくそれぞれに相手がつき始める。
「ねえ、ユウ君これ一緒に歌おー」
・・・胸が腕に当たってる。
さっきのトイレタイムで”どっちにする”のかはっきりしてきたんだろう。
可哀そうに、この子はきっと紫音先輩にくっついてる子に負けたんだろうな。
それでも俺に笑いかけ、楽しそうにマイクを渡してきた。
「・・・・・・・・・」
うわぁ・・ヤベ。
紫音先輩にジトっと見られてるよ。
この子狙いだったのかな?
「ユウくん歌うま~~ええ!プロの人?」
「いやいや、素人だよ」
「・・・・・・・」
「ええ~でもすごいよ~、ゆみ一瞬で惚れちゃったぁ」
「―――のみすぎだって」
「・・・・・・・」
「だってぇ、ユウくんかっこよすぎなんだも~ん!それにさ、色白だよね!?ハーフ?クオーター?」
「うん、クオーター・・っていうのかな?曾祖父さんがドイツの人」
「やっぱりぃ!そうだと思った~!!」
「・・・・・・・・」
やばい・・・紫音先輩にめっちゃ睨まれてる…。