僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
どうしようって思って立ち止まってたら先輩が来て、俺の服を掴んでる手を見て、一瞬だけ眉をひそめた。
「すいません、ほのが放してくれなくて」
まずいと思いながらも、あははっと深刻にならないように笑った。
「…ずりいよな、女は。そうやって泣けばいいんだもんな」
先輩が穂香の背中に吐き捨てるように言う。
その物言いが少しカチンとくる。
「そんなに突き放したいい方しなくてもいいじゃないですか」
「~~~う――‥」
あーあぁー・・・泣いちゃった。
静かに涙を流す彼女の肩を思わず抱え込む。
「……俺帰る。じゃあな」
「え?ちょっと!」
このまま置いてかれても困る。
「ユウ、その人、送ってやってね」
その人って…飄々と悪気なさそうに帰る背中が恨めしい。
「んだよ、信じらんね」
「いいの、あの人は悪くない。悪いのは私なの」
「———どっちが悪いのかはわかんないけどさ、女の子に向けていい言葉じゃないだろ?」
「————でも、私が悪いんだと思う。私が、、、」
ひくついてまた泣きそうだから、人目のつかないベンチまで連れてきて座らせた。
どうしようか迷ったけど、隣に座って背中を撫でた。
「祐くん、手――握って?」
「えっ」
それは、先輩に悪い。
「できないよ」
「どうして?」
「どうしてって…」
戸惑っていたら、また涙が溜まっていく。
「ああ、もうわかったよ。握るから、もう泣かないで」
握るとその手は暖かくて、前に握ってくれたことを思い出した。