僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「愛してる」「もう嫉妬させないから」「考え直して」

歯の浮いたような陳腐なセリフだって分かってるよ。

でも、こんな言葉で気が変わってくれるならって…。

そう思えば、次々と言葉が出てくる。

「お願いだよ、ケイ…。俺は君を失って、どうやって生きていけばいいんだ?―――お願いだから、俺を捨てないで…」

「・・・・・・・・・」

ケイは必死に食らいつく俺に向き合うこともなく、目の前の池へと目線を移す。

「ケイ?」


「・・・・祐はさ、男みたいだけど、男じゃないんだ」


「男だよ」



「男じゃないよ」



「何が言いたいの?」



「祐は――――、持ってない、だろ?」

そう言われて、最初は意味が分からなかった。

「俺がして欲しい事、祐には出来ないんだよ」

「ケイ・・・・」



ショックだった。


今まで、身体が男じゃないことを、何度も悲しくなって辛い思いもしてきたのに、唯一の理解者だと思っていたケイに、その事実をつきつけられるなんて・・・


「あの人は、俺を満たしてくれるんだ・・・・。心も『身体』も」

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