僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「ユウが気にやむことないんだ。これは俺たちが考えた我儘なんだから。こうでもしないと選んでもらえないよねって、彼女と話した結果だから」
そうだとしても、こんな事って…残酷すぎないか?
「ユウはいつも通りこの三人で集まって、楽しめばいいんだよ。俺だって彼女だって、三人で過ごす時間をまずは楽しもうってなったんだから」
「そうなの、祐ちゃん、私たちの我儘でごめん。今まで通り三人でいろんな所行って楽しもう?月一くらいの頻度でもいいから」
そんな気持ちを伝えられた後に、ホイホイ行けないよ。
顔を見るたびに、俺はこの二人を苦しめてるんだなとか、思っちゃうから。
「ユウは真面目だからさ、絶対困らせるって分かってたけど、思った通りだな」
「だって、どうしてあげたらいいのか、答えがわからなくて」
「今すぐ答えなんで出さなくてもいいよ。無理にどちらを選ぶこともしなくていい。ただ俺たちはチャンスが欲しいんだ」
「チャンス?」
「そうだよ、俺も彼女も、お前に惚れてんのに、このまま見知らずの誰かに持ってかれるの悔しいもん。何もしないで諦めるほうが、俺達には残酷だよ」
ほのを見たら同意するように頷いていた。
それからも、同じような内容を三人で一晩中話し合って、気づいたら朝になりかけていた。
ほのは時々、船をこいだようにカクカクと首を前後に振るから、緊張の糸が切れたように先輩と笑う。
布団を二組敷いて、そこにほのを眠らせることにした。
「メイク…落としてない…」
穂香がうわ言の様に呟く。
「あ、ちょっと待って」
「持ってるんすか?」
「兄貴がそれ関係の仕事してるから、おいてったのがあるんだ」
クレンジングシートを渡されて、ほのをみたらもう眠っていた。
「ユウ、ふいてあげな」
一瞬、勝手にそんなことしていいのか分からなかったけど、そのまま寝たら肌が荒れるかもしれない。
「分かりました…」
一枚取り出して、拭いてあげると冷たさにびくついていたけど、目を覚ますことはなかった。
「おれ、歯磨いて着替えてくる」
「はい」
全部ふき終えたら、ほとんど変わらない素顔が見れた。
少しだけ、幼く見える。
何となく微笑ましくなって、頭を撫でたらいつの間にか先輩が帰ってきていた。