僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
その日からよけいに、会わないようにした。
二人きりでも、三人でも。
目の当たりにするのが怖かったんだ。
なにかをしてないと、睦まじく笑ってた二人の笑顔が浮かんでしまうから、いつも何かに没頭していた。
自然と二人に繋がりそうなことを、断たっていく。
失いたくないくせに、自分から離れようとしてる。
捨てられるかも知れないと思うと、自分から先に突き放してしまう。
俺は弱くて、酷い奴。
あの三人の空気感が居心地がよすぎて諦めきれない。
だから、よけいに二人の始まってしまいそうな恋路を見守ることなんて、できやしない。
人との交流が少ない部屋で、こもることが多くなり無駄に知識が増えていく。
実家と家を行き来するためにだけ、外に出る。
外に出る時間が短くなった。
「おまえ、そもそもさ、あっち引き払って、ここに帰ってくればいいんじゃね?」
ハルにそう言われてここを出た理由を思い出した。
確かに、もう、あの部屋は諦めたほうがいいのかもしれない。
「‥…そうだね」
そうすれば生活費を稼ぐバイトも、そんなに詰めなくてもいい。
簡単なことだけど、今までそうしなかったのはまだ諦めきれなかったからだと思う。
本当の自分になれる時間と場所とそれを許してくれる二人を。
それから、二人に会わない分、頭の中で妄想が膨らんでいく。
あの二人は、俺抜きでまた会ってるのかなとか
キスくらいしてるのかも、とか
もしかしたら、気持ちが通じ合って、セックスもしてるかも知れない・・・なんてことまで考えてしまう始末。
そう考えればさらに外に出たくなくなって、家にこもりきりになる。
一人っきりの部屋は、暗く、パソコンの明かりしかついていなかった。
そこで画面を凝らして見つめれば、いつか見たようなやせ細った自分が、画面の奥に見えた。
ああ、おれ、病んでるかもな。
ケイの時と同じだ。
寝むたくならない、食べたくない、大学も―――行きたくない。
なんで、俺は、こんなに弱いんだろう。
少しの間、夢見ただけで
それが当たり前になることなんて、あるはずがないのに。