僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「いただきます」
「ん、ほら」
茶碗にご飯をよそってくれる。
心なしか、俺やハルが炊いたご飯よりも艶がいい気がした。
ハル…
あのあと、どこに泊まったんだろうな?
家に帰ったのか、それとも
”心配ご無用。おれ、モテるから”
言葉通り、どこかの女の家に行ったのかもしれない。
昔みたいにその辺を自慢してくることが無くなったから、てっきり、いないもんだと思っていた。
あのキャッチボール以来、一線をひかれたように、あまり自分の事は話してこなくなったな。
子供のころと違って、知らないあいつがいて、
いつの間にか、見えない壁がお互いの間に出来てしまってたんだ。
なんかそれが、悲しかった。
最近、昔の二人を思い出して懐かしさに浸ってたから、余計にそう思う。
「おい、聞いてるか?」
「あ、———聞いてませんでした」
「誰の事を考えてたんだよ、悲しそうな顔して」
「いえ、別に・・・」
そんな事で誤魔化しても、きっとバレバレだけど、それ以上責められることなく、お互い箸が進む。
「んでさ、昨日の事、覚えてるよな?」
「———うん。」
「善は急げって言うからさ、早速だけど荷物まとめてね」
「え、もうですか?」
「そうだよ、ユウはほっとくと気が変わったり落ち込んだり忙しいからな。だから、ほのちゃんと二人で決めたんだ。」
「・・・本気だったんですか・・」
「そうだよ、ほのちゃんにも直接聞いてね。超本気だから」
いつか話していた笑い話が、現実になるなんて、想像もしなかった。