エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
人によっては贅沢な悩みに入るのかもしれない。でも、朔にとっては本当に枷にしかならないのだろう。自然と愛想を振りまけるタイプでもない彼には、取引先と個人的に濃密な関係を結ぶほうが仕事へのリスクだと判断したようだ。そういう私利私欲がないところが彼らしくて、聞いていて腑に落ちるけども……。
「だからって、いきなり私と結婚なんて」
「誰がいいのかって考えたら、気心知れてるお前ならいいなと思ったんだ」
私の苦言に続いたこの言葉には息が止まった。朔は人に頓着しない。昔と変わっていなければ、この台詞はかなり信頼されている証拠。
「お前が心底嫌ならやめるけど、俺でまぁいいかなと思えるならこの話悪くないだろ」
確かに。と頷きそうになる。お互いがウィンウィンの関係。朔は波風立てずに縁談を断れるし、私はこの状況から一歩進むことができる。両親も安心する。いつもいつも、私のことで悩み心配している大切な人たち。
「そうだけど、さ」
「俺は面倒な縁談話を一掃したい。そのために手っ取り早く事情と分別がわかるパートナーを置きたい。お前は家族の負担になりたくないし、憐れまれるのも耐えられない。逃げ出したいって昨日言ったじゃん」
うん、言った。みっともなく嗚咽をまき散らして。でも、こうなるなんて誰も予想できない。完全に斜め上を行ってる。
「難しく考えなくても契約みたいなもんだ。偽装結婚。で、どっちかが嫌になったら終わり。特別何か強要するわけでもない。まぁ同居人に近いな」
「……私でいいの?」
「俺はお前が適任だと思う。昔ながらの付き合いだ。ある程度腹の中がわかってる人間じゃないとこんなこと提案しない」
朔の真剣な声が耳を打つ。つまり、私を信頼しているということ。それがじわじわ胸を痺れさせた。
「一週間、時間やるから考えて。嫌なら遠慮なく断ってくれ」
「……うん」
強く拒絶できない。それは、根本的に私がニートだから。親のすねかじりで三カ月ダラダラしていた身として甘んじているのを自覚しているから。そして、そこから抜け出したいという昨日の叫びが本心だからだ。
「じゃあ、俺帰る。あ、連絡先だけ教えて」
「あ、うん」
私は困惑のまま、鞄にいれたままのスマホをとりだす。お互いの連絡先を教え合った後、朔は本当に帰っていった。まさに台風一過。頭の中がぐちゃぐちゃで整理できない。
朔とは幼馴染でお互いのくだらないところも恥ずかしい記憶も知っている。生理的に無理な相手と同居はできないが、朔はかつては恋心も抱いていた人。
「だからって、いきなり私と結婚なんて」
「誰がいいのかって考えたら、気心知れてるお前ならいいなと思ったんだ」
私の苦言に続いたこの言葉には息が止まった。朔は人に頓着しない。昔と変わっていなければ、この台詞はかなり信頼されている証拠。
「お前が心底嫌ならやめるけど、俺でまぁいいかなと思えるならこの話悪くないだろ」
確かに。と頷きそうになる。お互いがウィンウィンの関係。朔は波風立てずに縁談を断れるし、私はこの状況から一歩進むことができる。両親も安心する。いつもいつも、私のことで悩み心配している大切な人たち。
「そうだけど、さ」
「俺は面倒な縁談話を一掃したい。そのために手っ取り早く事情と分別がわかるパートナーを置きたい。お前は家族の負担になりたくないし、憐れまれるのも耐えられない。逃げ出したいって昨日言ったじゃん」
うん、言った。みっともなく嗚咽をまき散らして。でも、こうなるなんて誰も予想できない。完全に斜め上を行ってる。
「難しく考えなくても契約みたいなもんだ。偽装結婚。で、どっちかが嫌になったら終わり。特別何か強要するわけでもない。まぁ同居人に近いな」
「……私でいいの?」
「俺はお前が適任だと思う。昔ながらの付き合いだ。ある程度腹の中がわかってる人間じゃないとこんなこと提案しない」
朔の真剣な声が耳を打つ。つまり、私を信頼しているということ。それがじわじわ胸を痺れさせた。
「一週間、時間やるから考えて。嫌なら遠慮なく断ってくれ」
「……うん」
強く拒絶できない。それは、根本的に私がニートだから。親のすねかじりで三カ月ダラダラしていた身として甘んじているのを自覚しているから。そして、そこから抜け出したいという昨日の叫びが本心だからだ。
「じゃあ、俺帰る。あ、連絡先だけ教えて」
「あ、うん」
私は困惑のまま、鞄にいれたままのスマホをとりだす。お互いの連絡先を教え合った後、朔は本当に帰っていった。まさに台風一過。頭の中がぐちゃぐちゃで整理できない。
朔とは幼馴染でお互いのくだらないところも恥ずかしい記憶も知っている。生理的に無理な相手と同居はできないが、朔はかつては恋心も抱いていた人。